東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
13幕 先祖ノ汚名

ー椿side-

通さんの運転で帝国劇場へと向かう。


劇場の入口は帝様后様の警護の為、厳戒態勢が敷かれていた。



復興祭での帝様の暗殺は未遂に終わったけど。


暗殺予告は継続されていたーーー・・・



鑑賞券を見せ、従業員の誘導でドレスサークルの鑑賞席へと向かう。



一般の鑑賞席とは違う特別席。


品のある紅の椅子に征史さんと並んで座った。



「素敵です…」



「気に入ってくれたか?」


「はい」



「俺はお前の喜ぶ顔が見たかったんだ…これ」


征史さんは私に銀製のオペラグラスを渡した。


「これがないと舞台は観ずらいだろ?」


「ありがとうございます」


「礼は明日の夜に返してもらうよ」














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