「すまなかった」



彼は素直に謝罪の意を示した。



眩い光が零れる大広間。



噴水の水音を訊き流しながら、ぼんやりと浮かぶ白い半月と無数の小さな星の輝きを見つめる。



「…ここでしたか…柾史様」



「…通(トオル)か」



「あ…椿様もご一緒でしたか…申し訳ございません!」



「…いえ…」



「彼は中井通…俺専属の使用人で同じ陸軍の兵士だ」



「初めまして…」


「初めまして…」



「帰るぞ…」



「よろしいのですか?」



「俺も忙しい。貴様も俺がどのような男か理解しただろ?俺は軍人だ。横暴で野蛮な男だ…あの男の言う通り…父上の噂の払拭の為に貴様との結婚を推し進めた」



「中尉…」



「貴様は俺には抗えぬ。俺は貴様を離す気ない。行くぞ…通」



彼の靴音が遠ざかって行った。


確かに東さんの言葉通り…中尉は横暴で野蛮だ…

でも、彼の存在が私の心の中に大きな波紋を起こした。






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