私は中尉殿に押し付けられたロシアケーキを口にした。



「美味しいです…」



「ふっ」



中尉殿は満足げな含み笑いを口許に湛えて、肘掛け椅子の背凭れに背中を押し付けた。


彼の背後には大きなグレーの大理石のマントルピースが重厚な雰囲気を漂わせる。



足を組み、威圧的な彼の態度。


彼がこの屋敷の当主のような見えてしまう。



黄土色の軍服。


上着の襟章と雨蓋は造形美に凝った仕上げになっていた。

強く括れた腰元…丈が短い分、足が長く見える。



「あの…」



「何だ?」


素っ気ない低い声。

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