東京ロマネスク~冷酷な将校の殉愛~《完》
「…では…どうして私の唇に…貴方の印を押し付けるのですか?」



「…公にされた俺と貴様の婚約。婚約者に逃げられるほど…恥な事はない。全ては体面だ…」



「・・・」



「…最初に言っておく…俺は子供を作る気などはない。寝室は同じだが…貴様に手を出す事はないと思え…一年経っても…子が出来ぬなら…貴様はお払い箱だ…その時は…お悔やみの程度の金は用意する…父親の元に帰るが良い」



「それが中尉殿の本心ですか?」



「…拒否は出来ぬぞ…一文無しの父親を路頭に迷わせたくなければ…貴様は俺と結婚するしかないのだからな」



私は御堂家と言う鳥籠に飼われていくんだーーー・・・






< 57 / 300 >

この作品をシェア

pagetop