王子様と恋したい
「……はぁ〜〜…」
わたしは、赤猿こと優の顔をみて盛大にため息をついた。
「お前なにため息ついてんだよ!俺様がわざわざ迎えにきてやったんだぞ!!!!」
まぁ、わたしは一応狙われてる身だからね。
正直、自分で対処できるんだけど…
「他のみんなは?」
優一人なのかな…?
「あぁ~。あいつらは朝苦手だから後からくるだろ…ってもう8時すぎだからあいつらも来るか…!」
え?優はいったい何時から家の前で待ってくれていたんだろう…
インターホン押せばいいものの、、
きっとわたしが寝てると思って気をきかせてくれたのかな。。
そんなことを考えると自然に頬が緩む。
「なにニヤニヤしてんだよ!気持ち悪りぃな!」
優は馬鹿にしたように頭をガシガシなでてくる。
わたしは、優の頭を掴んで無理矢理わたしの目線まで合わさせた。
「迎えにきてくれて、ありがとう!」
自然に出た満面な笑みを浮かべると、優は顔を真っ赤にし、そっぽを向いて隣りにある自分の自転車に腰をかけた。
「おい!早く後ろ乗らなきゃ置いてくぞ!!」
わたしは自転車の後ろ部分に腰をかけ、優の背中をちょこんと掴んだ。
「おい!お前は馬鹿か!!落ちんだろ!!」
口は乱暴だけど、わたしの腕をしっかり自分の腰に巻きつけて自転車をこぎだした。
後ろからみえる優の耳が真っ赤に見えたのはきっと気がせいだろう…
わたしは優の大きな背中に身を任せ、自転車の揺れの心地よさを楽しんでいた。