YUKI˚*

川村優





「ゆーきちゃん」



「あ、須嶋くん…おはよ…」



「はよっ」





あれから



須嶋くんはたまーに学校に来るようになった




「まーた朝からラブラブしちゃって」



「…まなみん!そんなんじゃっ……」



「もーすぐマジでラブラブになるから」



須嶋くん……




それは本気で言ってんの



「もう、久しぶりに学校来たと思えば……」



「俺が来てくれて嬉しい?」



「ぜーんぜん!」




席が隣だから、こんな会話が授業中も続く


そして先生に睨まれる……



女子に睨まれる



はぁー……

須嶋くんが来た日は大変





でもいくら睨まれても、女子が何も言ってこないのは



やっぱり須嶋くんが怖いからだろうか



あ、それともまなみんかな…





そーいえば須嶋くんがあたし以外の人と話してるのは




川村くん以外見たことない





「何ぼーっとしてんの!次、移動教室」



「あっ、待ってまなみーん!」




そしてその授業の後も、ずっーとあたしは



女子に睨まれるのでした











学校が終わりのチャイムを告げ



生徒達が一斉に立ち上がる




やっと放課後になった…




今日一日、須嶋くんとの言い争いや



女子のキツーーい視線で本当に疲れた





もう、早く家に帰ろう




そう思ってさっさと教室を出るつもりだった




「あ、待って。」



須嶋くんに引き止められなければ




「もう…何?」


「はは、そんな嫌な顔しなくても」



嫌な顔にもなる



やっと解放されると思ったのに


須嶋くんがあたしの手を




掴むから





ほら、また女子に睨まれるじゃん



なのにこの手を



振りほどけない





あたしが感じ悪く黙っていると



須嶋くんは言った





「俺ん家来ない?」





「…………」




は?







「あのねー、あたし達は




「まだ付き合ってないんだろ。わかってるよ」




須嶋くんがちょっと拗ねたような顔をする



なに、それ




「じゃあなんで……」



「勉強、教えて?」



「……は?」



須嶋くんが……



勉強??




「今度のテストで10番内に入るため」



「……あ、あぁ」




そっか



付き合う条件のこと…


え、今から勉強して間に合うと思ってるの?



テストの日まであと何日かしかない




ていうか


「え……なんであたしが」





あたしだって成績いいわけじゃない



悪くもないけど


……たぶん




「だって他に頼む人いねーもん」




確かに……須嶋くんは男子にも恐れられてるから…



きっと頼んでも断られるだろうけど



でも


「川村くんは?」



唯一の須嶋くんの友達



「あー、あいつは………部活?」



少し考えるように言った須嶋くん



なぜ疑問系…




でも川村くんって確か、サッカー部だよね



一年でレギュラーって、まなみんが興奮気味に言ってたっけ




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