YUKI˚*

約束







「須嶋くん、最近どーしたの?」


次の日は、須嶋くんは普通に学校に来た



「え?」


「昨日も、この前も休んでたじゃん!何かあるならあたし…



ばふっと、頭に大きな手がかぶさる


少し体がよろけて、立て直す



もう、倒れそうになるじゃん!




「ちょっと用事あっただけ。心配しなくても大ジョーブ!」



「本当?ならいいけど」


そーだよね


用事ぐらいあるよね




その大好きな笑顔を須嶋くんに向けられて



安心してしまうあたしは甘い




「じゃ、帰ろう?」


「うん!」




なんだろう



二人でふざけ合いながら一緒に帰る帰り道



須嶋くんの地元じゃなかったのに





「…ゆきちゃん」



「ん?…んっ!」


突然須嶋くんにキスされて



あんなにキスされないって悩んでたのに


クリスマスの夜から一変



糸が切れたみたいに何もためらわずに



「なっ!…何するの?!」



でも本当は


「え、ゆきちゃんが物欲しそうな顔してたから」




ちょっと嬉しかった、なんて


でも


「してないっ!ってか、人に見られたら…





見られてたんだ



このとき





「よく女と笑ってられるなぁー須嶋?!」



男の人の低い声



その人に見られてしまった




それが誰なのか見ようとして


須嶋くんがあたしを背中に隠したから、見えなかった




「何でこんなとにいんだよ」


須嶋くんの低い声




や…





「昨日覚えとけっつったよなぁ?!」



昨日…?



昨日って…須嶋くんが学校を休んだ日





まさか




いや…




フラッシュバックする


あのときの赤い光景




いやだ…



嫌だ!




「ゆきちゃん?!」



あたしは須嶋くんに後ろから引っ付いて


離れないようにして




嫌だ


お願い


あの須嶋くんに


須嶋くんじゃない須嶋くんに


優しくない須嶋くんに



戻らないで




「……ゆきちゃん、走れる?」


「…え?」



瞬間



須嶋くんはあたしの手を引いて



すごいスピードで駆け出した







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