好きになったのは、一匹狼でした。



「あんた、平気?」


「えっ、あっ……」



梶野くんに話しかけられた途端、焦ってただ首を縦に振った。




だって、なんだか、彼がかっこよく見えて。


心配そうにあたしを見つめる姿に、キュンときた。




「あっ、あっ」


「あ?」


「あ、あああ、あああぁぁぁあ!」



“ありがとうございました”が言えなくて、“あ”を叫びながら走って逃げたあたし。




これが、梶野くんの優しさを見つけた瞬間。




きっと、梶野くんはこんなこと覚えてないかもしれないけど。






< 22 / 225 >

この作品をシェア

pagetop