Only One──君は特別な人──
「話す前にコーヒーでも淹れるね」

「そんなのいい。今すぐ話を聞かせてくれ」

「うん。分かった…」

そして、あたしは会社を出てからのことを全て話した。


「──彼女と別れてわざわざもえに会いに来たのか…。あいつ本気なんだな」

「でも、あたしつき合えないって断ったから」

「…断って後悔しないか?」

「何でそんなこと言うの? 疑ってるの?」

「そんなんじゃないんだ。ただ怖いだけだよ」

貴広が心底悲しそうな表情を見るのは初めてだった。

「昔話として聞いて欲しいんだけど」

「うん?」

「三年前くらいかな。オレ同じラインの女の子とつき合ってた」



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