Only One──君は特別な人──
君は特別な人






「──連絡なしか…」


翌朝。スマホを見て呟いてため息をついた。

昨日、貴広からの連絡を待っていたあたし。

ずーっとずーっと、スマホと睨めっこしていたけど、貴広からの電話もメールもなし。

だったら自分から連絡しろよっていう話なんだけど、何だか勇気が出せなかった。

かおりちゃんを部屋に入れたこと。キスされたこと。

あの時は嫉妬で怒り狂っていたけど、冷静になって考えてみると、あたしとつき合う前の話だもんね。

過去をとやかく言われた貴広は呆れたんじゃないかって。

怖くて何も出来ないまま、朝を迎えてしまった。

会社行きたくないなぁ。

貴広は今日まで休みだから、顔を合わせず済むけど、かおりちゃんの顔を見るのは苦痛。
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