Only One──君は特別な人──
「そういうことだな」

「えー!?」

「実は婚約指輪も買ってあるんだよ」

「そうなの?」

全然知らなかったよ。一体、部屋のどこに置いていたんだろう?

「普通、婚約指輪を先に渡すんだろうけど、オレは結婚指輪を渡したくて、さ。変わってるだろ?」

「そんなことない」

逆に思い出に残っていいかも。

「婚約指輪、家に帰ったら渡すから」

「うん。貴広が嵌めてくれる?」

「いいよ。結婚式の予行練習しとかないとな」

「そうだね」

ふいに、貴広のタキシード姿が浮かんだ。

とてもとてもかっこいい。

「年末年始でオレの実家ともえの実家に結婚の報告に行こう」

「うん」

「うちの両親喜ぶだろうな」

「うちもだよ」
< 166 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop