Only One──君は特別な人──
するとすぐそこに大野さんがいて、今すぐにもキス出来そうなくらいの距離感だった。

「わわっ!」と、わけの分からない声を上げてしまう。


あたしが背を向けようとすると、

「こっち見てよ」

そう言って、大野さんはあたしの腕を掴んで離さなかった。


「水谷、顔真っ赤だな。恥ずかしいのか?」

「恥ずかしいですよ! 彼氏でもない人にこんなことされて。大野さんって意地悪ですね。イメージダウンですよ」

「オレって、どんなイメージ?」

「温厚で優しくてしっかりしてて冷静」

「じゃあ、これ以上意地悪なことしたらイメージが更に悪くなって嫌われるかもな」


これ以上の意地悪って、どんなことする気だ…。

まぁ。冗談で言っているんだろうけど。

あたしだって、イメージダウンなんて言ったけど、本気でそう思ったわけじゃない。















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