Only One──君は特別な人──
「水谷、年末はどうするの?」

「実家に帰ります」

「実家はどの辺なの?」

「ここから、二時間くらいの所です」


あたしが一人暮らししている理由は一つ。

通勤が困難だからだ。


「オレが実家まで送って行くよ」

「えっ…」

「迷惑?」

「迷惑っていうか。申し訳ないです。遠いのに」

「気にしなくていいよ。面倒くさいならこんなこと言わないから」

「じゃあ、お願いします」


あたしは素直に好意を受けることにした。

笑顔で話す大野さんが、そうさせたのかもしれない。



でも何でだろう?

──実家に帰る楽しみが増えたような、そんな気分になっていた。

























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