Only One──君は特別な人──
一つになる



1月3日──あたしは実家から戻ってきた。

ついさっき、ワンルームのアパートに着いたばかり。


実家が賑やかだったこともあり、しんと静まり返ったこの空間が少しだけ淋しい。

上着のポケットからスマホを取り出す。あたしは貴広に電話しようとしたけどやめておいた。


実は貴広は今日帰って来ることを知らない。

まぁ。驚かせたいという、そんなしょうもない理由で教えなかったんだけど…。


今から貴広のアパートに行ってみようかなぁ。

そんな思いが過ぎった時だった──。

あたしのスマホが鳴った。着信は貴広からだ。

会いたいと思っている相手からの電話。以心伝心みたいで嬉しくなる。


「──もえいつ帰って来るんだよ?」


電話に出るなり貴広が唐突に言う。








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