リーンは昼間からサクルに愛され、疲れた身体を自室の寝台に横たえた。

砂漠の宮殿は大きく見えるが全て二階建て、縦より横に広い。サクルと寛いだ部屋は中二階で、リーンの自室は二階にあった。サクルの部屋も同じ階にある。

夫婦とはいえ妃には別の部屋が与えられ、王は気に入った妃の部屋で夜を過ごす。

教義上、サクルは四人の妃を持つことが可能だった。


(でも……わたしだけって言ってくださったもの)


豪華に催された結婚の儀式と祝宴のことを思い出し、リーンは胸が熱くなる。

婚儀のために呼ばれた長老は、花嫁の名前が替わったことに驚いていたが、反対はされなかった。しかも、婚儀の後に行われるはずの初夜の儀式を先に済ませてしまったのだ。

怒られるかと思ったが、意外にも長老はニコニコしていた。


マルヤムが言うには、


『陛下は、結婚しない、王女様も娶りたくないと言い出して、側近を困らせておいでだったのです。王太后であられるヒュダ様も非常にお悩みでした。それが一刻も早く妻に、との仰せ。わたくしも喜んで王都より駆けつけました』


サクルはかなり強固に婚姻を嫌がっていたらしい。

リーンはその理由を色々想像して、ひとり不安に陥ってしまった。そして、思い余ってマルヤムに尋ねる。


『陛下には愛する方がいらしたのではないでしょうか? 本当はその方を妃にされたかったのでは?』

『まあ! そんなことございませんわ。陛下がお望みなって手に入らない女性はおりません』

『でも、その……処女でなかった、とか。この国では純潔を捧げた相手以外とは結婚を認めてもらえないとか……いろいろ聞いたのですが』


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