6 on 1 lovers -来たれ生徒会-
→ 高萩ナガレの場合 1

ツンデレヒーロー登場


「お前ら!何やってんだ!」

階段の上から発せられた大声に、眼前に立つ彼女たちは一斉に振り返る。声の主を確認すると瞬時に私から遠退き、しおらしく体をひねた。

「…高萩くん!」

彼の名を呼んだ途端に、彼女らの鋭い視線が一斉に刺さった。その目には私への憎悪が込められている気がした。というより、実際にこうして彼女らに拘束され罵声を浴びせられたのだから、向けられた視線には本当に憎悪が込められているのだろう。そんな状況を断ち切るかのように、彼はズカズカと遠慮なしに階段を下り、こちらへ近付いてくる。

私と彼女たちとの間に立った彼は、不意に私の手を取ったかと思うと、素早く私の体を自分の背中の後ろに隠し、庇った。

「こいつも…一応生徒会の一員なんでね。傷付けられたら…こ、困るんだよ。」

彼女たちの顔が一瞬強張ったように見えた。肝心な彼の表情は、ここからは窺えない。私はそのまま彼の背中に守られながら、彼女たちの言葉を聞いた。

「き、傷付けてなんていない!高萩くん、何か勘違いしてるんだよ」
「そうだよ!私たち、ただ櫻木さんと話してただけだし…」
「話すだけで、どうして壁に追い込んで肩を掴む必要があるんだよ?」
「…そ、それはっ」

しっかりとメイクが施されている大きな瞳が揺れ、行き場のない両手は強くスカートの裾を握りしめる。彼女たちは彼の問いかけに、明らかな動揺を見せた。

< 22 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop