神様修行はじめます! 其の三
千年前の大罪
・・・なに!? 門川一族に取って代わる!?


全員が固い表情でマロさんに注目した。


身構え、張り詰めた空気の中で、ただひとり白塗りの顔だけが笑い続けている。


その顔に向かって絹糸が吠えた。


「ようやっと本性を曝け出しおったか!」

「千年の時・・・長かった」


声が、さっきまでとは全然違う。


素っ頓狂に甲高いマロ声は、もう微塵も無く消え去っていた。


「たわけ! お前ごときが言って良い言葉ではないわ!」


「延々と門川の不当な処遇に耐え忍んだ日々よ・・・」


ますます絹糸が声を荒げる。


「お前は千年前にどれほどの大惨事が起きたか、分かって言うておるのか!」


「・・・・・・」


「無理からぬ処遇じゃろうが! 決して不当ではない!」


「その言葉、この雛型に向かって言えるか?」


マロさんのそのひと言で、突然絹糸がぐぅっと詰まった。


ギリギリと歯を噛み締め、小さく唸るばかり。


マロさんがゆっくりと雛形に向かって移動した。


歩くごとに衣擦れの音がして、薄暗がりの中で奇妙に大きく響く。


「だが永劫に続くと思われた苦悩も、やっと終焉を迎える」


雛型の隣に立ち、その長い長い黒髪をそっと撫でた。

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