嘘の誓いとLOVE RING
思わぬ疑惑
「凌祐!?何で?」
つい佐倉さんがいないか探してしまったけれど、どうやら一人の様だ。
「何でって、もう帰るだろ?誘いに来たんだよ」
小さく微笑む凌祐に、私は目を合わせられない。
佐倉さんとの関係を知ってしまっては、普通に接する事など出来るはずもなかった。
「別々に帰ろうよ。前にも断ったけど、あんまり社内で一緒にいるのはマズイと思うし」
「じゃあ、外で待ってる」
「それも、ちょっと…」
凌祐は、しつこいくらいに食いついてくる。
どうして、そんなに一緒に帰りたいのだろうか。
そんな私たちのやり取りを、圭祐は一歩下がって見ていたのだった。
「どうして、そんなに困るんだ?誰か、他の人間と一緒に帰りたい?」
「えっ!?」
またもや、予想外の質問が飛び出し、軽く混乱状態になってきた。
「この間は、圭祐に送ってもらったんだろ?今夜も、圭祐がいいか?」
いつの間にか凌祐の顔からは笑顔が消え、険しい表情へと変わっていたのだった。