《第2章 恋愛の後遺症》


 まだ、ドキドキしている。

 あれから家まで車で送ってもらったけど、そのときになって初めて知った。そこそこ酔っていた私とは反対に世良さんは、ワイングラスに口すらつけていなかったということを。

 お酒好きだけど、一生に一度のプロポーズという重大な日なので今日はアルコールは飲まないと決めていた世良さん。レストランに着く前から緊張して喉がカラカラだったそうだけど、そうは見えなかった。

 なので、いまいち信じられなかったけど、よくよく思い出せば今日はワインと一緒にペリエを注文していた。

 けれどワインを飲んでいた私も、帰る頃には体の中のアルコールは見事に吹き飛んでいて、車の中では妙に意識してしまってガチガチだった。おかげでかなりヘトヘト。

 家に着いて牛乳で作ったあたたかいココアでなんとか気持ちを落ち着かせようとするけど、どうしても思い出してしまう。

 運転席で正面を見据える瞳がキラキラと輝いていて、瞬きするたびに動く長いまつ毛が繊細な印象だった。

 だけど、ハンドルを握る手の甲は男らしい。

 手すら握ったことがないのに、やっぱり握力は強いのかなと考えてみたり、手の平は触り心地がいいのかなと想像してみたり。

 世良さんの細かいところまでもが鮮明に浮かんできて、あまりにもいい男っぷり胸が締めつけられた…──

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