《第5章 魅力全開、最強王子様》


 ダークブラウンのタイル張りの外観。オートロック付きで築浅の建物は、ハイセンスで清潔感があって落ち着いた印象だった。

 三階建ての木造アパートの世良さんの部屋は二階にあり、間取りは10帖のリビングダイニングと8帖の寝室。ひとり暮らしには十分な広さの1LDKである。

 てっきり豪華なマンションに住んでいるのかと思っていた。

 タワーマンションとまではいかないけど、煌びやかな夜景と華やかなシャンデリアがあるのかなと勝手に想像していた。

 そのことを世良さんに言ったら大笑いされてしまったけど、よく考えたら、世良さんがセレブ生活をしている方がおかしいわけで、出会って七年目にして世良さんの実態を知ったような気がした。

「はい、どうぞ」
「いただきます」
「僕は今から夕飯を作るから、亜矢ちゃんは、くつろいでいて」

 あたたかい紅茶でおもてなしされ、その上、そんなセリフを聞かせられて、はいそうさせていただきますと誰が言える?

「私もお手伝いします」

 すっくと立ち上がり、スーツケースの中からエプロンを引っ張り出す。髪もシュシュでまとめて、やる気を見せた。

 いくらなんでも、お世話になる身分だし、お料理くらいはお手伝いしなきゃ。

 ……お料理、得意じゃないけど。

この作品のキーワード
オフィス  結婚  プロポーズ  じれじれ  溺愛  ドキドキ  甘々  胸きゅん  大人  社会人