青い猫の花嫁
*prologue…

『真子ちゃん、あたし彼氏出来た』


学校で親友が嬉しそうに、そう報告してきた。

親友の彼。

あたしの好きな人。


言わなかったあたしがいけなかった。
言えなかったあたしがいけなかった。

もう少し、勇気を出して自分の気持ちに正直になれていたら、こんな後悔をしなくてすんだかもしれないのに。




その夜、眠れなくてベッドから抜け出すとそっとベランダへ出た。

吐く息も白い。
真冬の2月。


体が重い。
心が重い。

なにもかも、重い。



ふいに、鼻に冷たい感触がした。



空には満天の星屑たち。

……雪?

不思議な事に、星空から静かにそれは落ちてきて。
そっと手を伸ばすと、あたしの体に触れては跡形もなく消えていく。

ヒラヒラ舞い落ちるそれは、まるで桜の花びらのようで。
切なくて、無性に泣きたくなった。



明日はあたしの16歳の誕生日。

きっと、親友は盛大にお祝いしてくれるだろう。
すごく優しくて、友達思いで、誰にでも好かれる、親友……爽子。


胸の中に、モヤモヤとした黒い感情が生まれそうであたしはキュッと目を閉じた。


この雪のように、こんなあたしも消えてなくなればいいのに。


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