シークレット・ガーデン
セーラー服と芋ジャー


司の住んでいたアパートは、JR藤沢駅から徒歩圏内にあった。


今も道順を鮮明に覚えている。

真彩の頭の中で、過ぎ去った日々の記憶が蘇る。



…今、歩いているこの歩道橋を降りて、コンビニの横の細い道に入る。


ずっと真っ直ぐに進んで、四つ角に出たら横断歩道を渡り、昔からある住宅が立ち並ぶ中を、道なりに歩いて行く。

しばらくすると開けた場所に出る。


そこは、車が10台ほど停められる舗装されていない月極駐車場だ。


その土地の持ち主が、すぐそばに二階建てのワンルームマンションを持っていた。


司は、そこに住んでいた。


23歳から3年間、真彩は藤沢駅から、その道を数えきれないくらいの回数、歩き、司のアパートに通った。


そして、彼の部屋で昼も夜も関係なく、夢中で抱き合った。



23歳の真彩は、司が初めての男だった。


でも、清い身体だったわけじゃない。


17歳で初めて彼氏が出来てから、司と出逢うまで、付き合った男は二人いた。


どちらも1年くらい付き合ったけれど、真彩は最後までは絶対に許さなかった。







< 54 / 216 >

この作品をシェア

pagetop