栗林巧巳は結婚してすぐに妻を事故で亡くした。




残されたのは妻との思い出と一人息子の博巳。





博巳という名は妻の博子と巧巳から一文字ずつ取って付けた名前だ。





博巳は妻に似たアーモンド形の大きな瞳をしていて博巳を見ると博子を思い出して辛くなる。





巧巳はいつしか博巳を避けるようになっていた。







妻を亡くしてからは博巳を実家に預け仕事に没頭した。





若く医者としても優れ外見も完璧な巧巳に言い寄る女性はたくさんいたが、誰と付き合っても、誰を抱いても巧巳の心は癒されなかった。






いつも寝る前に思い出すのは博子の優しい笑顔。







「巧巳…」






そう自分の名を呼ぶ博子の声。








博子を亡くしてから、巧巳の博子への想いは増すばかりだった。






博子にもう一度会いたい…






博子をもう一度抱き締めたい…






もう一度…







そんな時…巧巳のクリニックに一人の女性がやって来た。








「先生…私の顔を別人にして下さい」








その女性は伏し目がちで暗く華やかという言葉とは縁のないようなそんな女性だった。







でも、よく見ると顔の造りは美しくどこか懐かしさを感じさせた。








どことなく博子と同じ輪郭に目や鼻の位置。







美容整形外科として自分の腕に自信のある巧巳は、もしかしたら…そう思った。







「もう一度会えるかもしれない…」








無意識に呟いていた。











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