百合子は小さく溜め息をついた。






「私…2年前に妊娠したんです。…すごく嬉しかった。主人もすごく喜んでくれました。
でも…5ヶ月の時、安定期に入って…それで久しぶりに主人と愛し合いました。その翌日出血して…」







あの時の哀しみが大きな波となって押し寄せた。涙が溢れる。







「…ご免なさい。泣くつもりは…」









「気にしないで…。泣きたい時は泣けばいい。無理して笑った顔よりも素直な泣き顔の方がずっと美しいですよ」








孝弘の優しさに百合子は黙って頷き、話を続けた。








「子供は流産しました。それから主人は私を抱かなくなりました。私が妊娠するのが怖いって…。だけど…あの日、孝弘さんと過ごした夜。主人が2年振りに私の事を抱いたんです…」








百合子はぎゅっとビールの缶を握った。










「…後悔したんですね?ご主人」









「…私嬉しかったのに…たとえどんな理由で抱かれたとしても、主人の温もりを感じたのは久しぶりだったから。だから、もしかしたらもう一度子供を作れるかもしれないって…。基礎体温を計って妊娠検査薬まで買ったりして。馬鹿みたい…」







百合子は自分を哀れむように笑った。






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