あれだけ急いで出て行ったのに、結局収穫は無かったらしい。


「時間と金の無駄遣いした気分だったよ」


それなりに採光のいい社員食堂。
秋晴れの太陽の光を纏いながら、私の向かい側の席に座った千沙が、箸で味噌汁を掻き回しながら毒づいた。


「一流商社マン、有名大卒、初婚二十代後半から三十代前半。
……ドストライクだったんだけどなあ。
せっかく璃子がグループ長の話に割って入って、ミーティング切り上げてくれたのにね」


盛大な溜め息をつきながら、千沙はお椀に口を付けると、ズズッと男前に味噌汁を啜る。


「……って言うか、そんなパーフェクトな男が合コンなんか来ないんじゃない?」


半分呆れてそう言いながら、私はお膳を前にして小さく手を合わせた。


「いただきます」

「……そう言えばさ」


お茶碗を片手に持つ私をジッと見据えながら、千沙は思い出すように言葉を発した。


「璃子の元カレって、そんなパーフェクトな男じゃなかった?」


突然声を低めて問い掛けられて、一瞬ギクッと息を飲んだ。


確かに千沙が言ったポイント全部、弘樹に当て嵌まる。
だけど今このタイミングで弘樹の話を出されると、微妙に動揺する自分がいる。

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