「あのお客さん、また来てましたね~」


閉店後ちょっと休憩、のつもりで、真由美ちゃんとロッカールームの自販機にコーヒーを買いに行った。
自販機にコインを入れながらそう呟く真由美ちゃんに、思わずギクッと身体を強張らせた。


「やっぱりストーカーなんじゃ……。
璃子さんから言いにくいなら、私、グループ長に言ってあげますよ?」


ガコン、と音を立てて放出口に落ちた缶を取ろうと身体を屈めながら、真由美ちゃんは私を探るように上目遣いで見つめる。


「えっ……!? やだ、大丈夫だよ」


そんな真由美ちゃんに、私は慌てて首を横に振る。


「来店だってまだ二回目だし。
それに、客が前回の窓口担当者を指名するのは可笑しな話じゃない。
なのにストーカーなんて、失礼だよ」


そう言ってなんとか笑って見せると、真由美ちゃんは身体を起こして、ならいいですけど、と肩を竦めた。


どうにか話題が終息していく空気になる。
私は気付かれないようにホッとしながら、真由美ちゃんに続いて自販機にコインを投入した。
コーヒーのボタンを押しながら、逆側の手をスカートのポケットに入れる。
そしてそこにカサッと乾いた感触を確かめながら、私は黙って俯いた。

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