本店店長である事業本部長に挨拶して、副店長、部長、課長……と。
一応年次を考慮してビールを注いで回る。


下手に表彰なんかされても、その祝賀会って、主役はこんな面倒なお役目ばかり。
冬ボに少しでも色が付くのは嬉しいけれど、正直、準表彰とかの方がこういう面倒事は避けられる。


店頭グループ係長にお酌してその場を辞したのは、上司回りを始めてからザッと三十分経過後。
二時間の時間制限のある飲み会。
結局、砕けた仲間と楽しめるのは、ほんのわずかの時間しか残ってない。


なんか、ドッと疲れた。


最後に回った席について思わず本気で溜め息をつくと、クスクス笑う声と同時に、持っていたグラスを取り上げられた。


「お役目、御苦労様。藤村さん」


最後に行き着いたのは、本店営業部団体営業課主任の肩書きを持つ省吾の隣。
省吾の他にも、フロアを共有する何人かの同僚や先輩が寛いでいた。


「藤村さん、ビールそんなに得意じゃないだろ?
『お礼参り』終わったなら、好きなの飲みなよ」


そう言って、省吾はビールのグラスと引き換えに、甘いカクテルのグラスを手渡してくれる。


「あ、ありがとうございます」


一口飲んで、その果実の甘さにホッとする。

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