Hair cuts

愛華の手紙

DEAR さくら

あの日、さくらと遊里がついに結ばれたと聞いたとき、あたしはまるで自分のことのように嬉しかった。

付き合い始めても、二人は互いにほとんど無関心で、あたしは、浩人と一緒になって二人をはやし立てたことをすごく後悔していたから。

もしかしたら、さくらに無理をさせているんじゃないかって気が気じゃなく、眠れない夜もあった。

あたしが一番恐れていたのは、さくらに嫌われることだった。さくらは親友で、たった一人の友達だったから…。

ねぇ、さくら。私たち本当に仲が良かったよね。

We are hair cuts!

覚えてるよね?浩人が気に入ってよく使っていたフレーズ。いつの間にかあたしたちのグループ名になっていたね。

四人でプリクラをとる時には絶対にそう落書きし、レストランの待ち時間に名前を書く時や、居酒屋を予約するとき、お祭りで早食い競争に出たときのチーム名もこれだった。「hair cuts」は私たち四人の代名詞だった。

さくらは、「こんなの恥ずかしい」と嫌がっていたけれど、あたしは浩人がhair cutsを連呼するたび嬉しかったんだ。四人まとめてそう呼ばれるたびに、あたしには仲間がいる、もう一人ぼっちじゃないんだって安堵した。

きっと浩人も同じ気持ちだったんじゃないかな。浩人も寂しがりやだから。

「hair cuts」はあたしの青春の全てです。できれば、もう一度四人で会いたいな。

ねぇ、さくら。あたし、寂しいよ。

あたしは、今、とても孤独です。浩人がいるのに、一人ぼっちです。

FROM 愛華
出すに出せない手紙第二号
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