本当の俺を愛してくれないか?
「俺さ、時々思うんだ。もしもっと早く..例えば学生時代に菜々子への気持ちに気付いていたら違う未来があったんじゃないかって。...気付くのが遅すぎたんじゃないかって」


「翔太...」


27歳になって気付くなんて遅すぎだよな。
だけど菜々子は本当にそばにいるのが当たり前な存在で。
離れるなんてこと、考えたことがなかったから。


「菜々子以上に俺を受け入れてくれる女なんていないよ。...会社ではカッコつけてて。普段の俺を知っても、受け入れてくれる女なんているはずない」


料理や家事が大好きで。
可愛いものが好き。本当は生活環境の中に可愛い雑貨や小物、家具で埋め尽くしたいくらいだ。

...こんな俺、誰も受け入れてくれるはずないだろ?


自暴自棄になりながらビールを一気に飲もうとしたその時、


「ここにいます!!」


突然聞こえてきた大きな声に、思わず吹き出してしまった。
桜子も驚いていて。


声が聞こえてきたのは、さっき桜子が帰ったと言っていた後ろの席からだった。


そして木彫りの置物からゆっくりと姿を見せた人物を見て、驚きのあまり言葉を失ってしまった。
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