イセイレ~乙女ゲームのモブに転生しました~
どうにかしなければいけないのに、どうすることも出来ない自分に対して、怒りが湧き上がる。
「どうにか、どうにかしないと……」
短距離を意味もなく往復する。
コツコツと靴の音が、無音の空間に響き渡る。
「……ッ!!……そうか、その手があった」
コツッと歩いていた足が止まる。
いい案を思いついた青年の目から、焦りが消え、希望の光が灯された。
半開きになっていた、だらしない口がゆっくりと弧を描いていく。