君が好き。2~大好きな彼と結婚する方法~
誰よりも大切で、愛しい存在   圭吾side
「ご搭乗ありがとうございました」

「ありがとう」

スチュワーデスにお礼の言葉を伝え、飛行機から降りる。
搭乗ロビーには沢山の日本人で溢れていて、日本に帰ってきてんだなと実感させられる。

「…夕方六時過ぎ、か」

菜々子は今日、副社長と共にオープン記念セレモニーに出席すると言っていたし、まだまだ帰らないだろう。

「先に問題を片付けてくるか」

きっとまだこの時間だったらいるだろう。そう思いそのまま会社へと向かった。

ーーーーーー

ーーー

「…分かった。明日副社長には伝えておくよ。ただ君からもちゃんと伝えなさい。…東野君には大きな期待を寄せていらしたから」

「はい…分かっております」

やっと出せた異動願。
人事部長には強い思いを伝えた。

「失礼します」

一礼し、部屋を出る。
そしてドアを閉めると同時に大きく息を漏らす。

分かってる。副社長の気持ちなんて。
期待してくれていることは十分すぎるほど分かっている。
だからそんな副社長の期待に応えたくて辞令が出た際も迷わず返事をして、今まで頑張ってきた。

副社長には申し訳ないと思っている。
だけど仕方ないだろ?
俺には仕事よりももっと大切な存在を見つけてしまったから…。

「フッ…。少しきつく締めすぎたな」

緊張のせいかいつもよりきつく締めてしまったネクタイ緩める。

あとは明日、副社長に自分の気持ちを伝えるだけ。人事部長にも言ったけど、副社長にもちゃんと伝えよう。
菜々子と結婚することも全て。
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