結局、私の座る椅子が無くなったため一杯も戴かず後にしたBAR「Cherish」。

若干30歳にして部長だもの、相当稼いでるんだろうな。イヌ科纏めて連れて来てくれたお店は、かの有名な高級焼肉店「徐々園」だった。

これぞ真の太っ腹。
メニューを開くなりパタンと閉じたくなるお値段だ。


「うっわ、スッゲ!こんな高級なとこ俺始めてだぜ!」

「そう、よかった。好きなの好きなだけどうぞ」

「シャーーー!!」


だからと言うわけではないけれど。


「どうしたの瀬奈、肉頼まないの」

「お野菜が好きっ」


本当は喉から手が出るほど特上カルビと牛タン塩が食べたい。でもここは我慢、いざという時のキスが焼肉味になっちゃう。

なので若者が高級和牛をペロリしている中、私は泣く泣く徐々園サラダをモリモリすることに。


「お前は昔からよく食うよね。見てて気持ちいいくらい」

「俺の胃袋は宇宙だぜ?ってかセツ兄食わねーの?マジうめンだけど」

「うん、食欲はないし」


そんなひもじい思いをしていた私を気遣ってか貴方もお肉に手を出さず、ユッケをツマミつつ日本酒を飲んでくれましたよね、一緒に。

例の犬のぬいぐるみを手に取っては、プッと吹き出したりして。


「ほんとう、瀬奈にそっくり」


ええ───

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