盲目少女と人斬り集団


夏海『閑梛ー、起きてるかぁー?』


私が此処へ来て数日経った
ある日のいつもの朝、
夏海先生が私に朝餉を運んできてくれた


閑梛『起きてます。
おはようございます、』

私はこの頃はまだ、笑ってはいなかった。
無に近い表情で、、、ずっと父様の刀を抱いていた。


夏海『ん、おはよう。』

夏海先生は私の近くにお膳を置くと
優しく頭を撫でてくれる


閑梛『夏海先生、私の目の傷はもう、塞がりましたか?』

縫った傷はもう抜糸しても良い頃だろう、と自分でもわかった。


夏海『うん、もう塞がってると思うよ、
ご飯を食べたら抜糸しようか』


夏海先生の暖かい声に
私の色々な傷は癒されている気がした。

〝カチャッ〟

腕に抱いた刀が少しだけ揺れた


閑梛『、、、ふふっ、この刀は私の心がわかるんだね』

おかしなことだけど
この刀は私が嬉しいと少し揺れる
すごいよね


夏海『それはすごい、
それより、その刀に名前はあるのかい?』

夏海先生は私の頭を撫でながら尋ねてくるが
名前を知らない私は小さく首を振る


夏海『そうか、なら、付けてあげると良い
名前で呼んであげた方が
その刀も嬉しいだろう。』


この刀は私の命に等しいモノ、
だから、名前が必要なのかもしれない


閑梛『……華守(はなも)り』

華を守ってほしいから

夏海『華守り、、、、、、そうだ、
閑梛さんのお父さんの名前を借りよう。
華守りでは少しあれだから

       華守

そう、呼ぼう?』


華守、、、父様の鴨からとったのかな、、、


閑梛『うん!!そうする!!ありがと、せんせっ』

私は華守を抱きにっこりと笑った

夏海先生は笑っている私を強く抱き締めた


夏海『強く、生きなさい』


優しい声に私の心は温かくなった。

閑梛『はい。』



こうして、私の大切な半身の名前が決まった。


これから、よろしくね、華守。



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