優しい君に恋をして【完】

迷惑







次の日、



朝も帰りも、優と一緒に電車に乗った。



私が話しかけると、

優はやっぱり口元をじっと見て、


頷くか、首を振るかしかしなくて、


声を発することはなかった。




いろんな思いがあるんだろうな.....優には。





帰りはまたバス停で優を見送ってから、

駐輪場に向かった。




そして、家ではなく、母校の中学へ向かった。



中学の校門をぬけて、


自転車を止めると、



保健室に向かった。




開けっ放しのドアから顔を出すと、



星野先生が、机に向かって座っているのが見えた。






「星野先生」




保健室に入って先生に声をかけると、






「わあ、遠山さん!」と、


メガネを外して微笑んだ。



私は、先生の机の横にあった丸椅子に腰掛けた。




「元気?高校生活はどう?楽しんでる?」




「うん。まあ......普通かな」




「普通か。普通が一番だよ」






先生は、はははっと笑った。



桜木先生と同じ年ぐらいの、男っぽいけど女の先生。


桜木先生とはタイプが全然違う。




星野先生は、体育会系って感じの元気な熱血タイプ。


桜木先生は、華奢で繊細で大人しい控えめなタイプ。




保健室の先生なのに、いつも上下ジャージ。


そんなところが親しみ易くて好きだったりもする。

















< 70 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop