体育館12:25~私のみる景色~
私の知らない愛と恋がありました

 身体がだるくて、重い……。


 嫌な倦怠感がまとわりついて、ゆっくりと目を開いた。


 目の前には真っ白な天井が広がっていて、保健室とは違う病院特有のにおいが鼻をかすめた。


 周りには、誰もいないみたい。


 腕には点滴がつながれていて、液体が一定のリズムでぽたぽたと落ちている。


 私、なんでこんなところにいるんだろう?


 そうだ、倉庫に閉じ込められてたはずじゃ……。


 というか私、生きてるんだよね?


 よかった、凉たちが見つけてくれたのかな……。


 その時、病室のドアが開いて、誰かが中に入ってきた。


「おっ、宮下。目が覚めたのか、よかった」


「せ、せんせ?」


 声を出してびっくりした。


 ガサガサの掠れた声で、自分の声じゃないみたいだった。


 きっと私の目は真ん丸になってる。


 そんな様子を眉を下げて見つめるのは、私の担任の先生。


「お前、いつも通り“りんちゃん”て呼べよ。何急に先生なんて呼んでるんだよ。ずっと寝てたから、寝ぼけてるのか?」


 そうだった、いつもりんちゃんって呼んでた。


 なんでかな、呼び方を一瞬忘れちゃったのかな。


 ……ん?


 ずっと眠ってたって?


「ケホッ、りんちゃん、ずっとって何ですか……?」


 私、そんなに寝てたの?


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