身代わり姫君の異世界恋綺譚

懸念

◇◆◇

清雅は清文と隋人(護衛役)と共に右大臣家を訪れた。

山吹との約束の為だ。

琴姫に会い、物の怪に取りつかれているか確かめるのだ。

清雅は屋敷を留守にしたくなかった。

昨日の真白が気になっていた。

しかし、あのような容姿の真白を外に連れ歩くわけにはいかない。

陰陽師寮を出る前に紫鬼にも会えなかった。

――どこに行ったのだろうか……。

清雅はそんな事を考えながら、牛車に揺られた。

「清雅、真白は大丈夫なのか? 昨日屋敷の外に出て、村人に石を投げられたと聞いた」

「父上、そうです。鬼と間違えられて石を投げられました。ですが、紫鬼が治してくれたので怪我は大丈夫です」

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