身代わり姫君の異世界恋綺譚

ホームシック

「なぜそんな隅に座っておるのじゃ?」

――紫鬼はいないのか……。

部屋の隅で膝を抱えてじっとしている真白に近づく。

「清雅……」

考え事をしていたようで、清雅の声にぼんやりと顔をあげた。

「まだ顔色が悪いではないか。寝ていなくては治らないぞ」

「大丈夫……」

数日前、着たばかりの元気な真白とは打って変わって静かだ。

「なんかおかしいぞ……」

ボソッと呟くと、真白が弱々しく微笑んだ。

「大丈夫。ホームシックになっちゃっただけだから。そのうちに治る……」

その言葉を言うと、涙が頬を伝わった。

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