身代わり姫君の異世界恋綺譚
「えっ……? きゃっ!」

何をされたのか脳が認識すると、真白は叫び声を上げた。

今までひりっと痛かった頬の痛みが消えていた。

「あなたは……何を?」

頬に手を伸ばし、指先で先ほどまで痛かった傷口を探す。

しかし痛みはなくなり、傷も指先に触れてこない。いつものようにスベスベの傷ひとつない肌だ。

――嘘……さっき切れたはずだよね?痛かったもん。すぐに治るなんてありえないよ。やっぱり、最初から切れていなかったの?

身体が動かせるようになった真白は、腕を布団について起き上がろうとする。

――こんな所一刻も早く出よう。

だが背中の痛みはひどくなるばかりで、この分では歩く事もままならぬ状態だと悟った。

背中の痛みに顔を歪める。

――どうしてこんなに背中が痛むの?

「治してやろうか?」

紫鬼に言われ、何のことかわからずにキョトンした表情で見た。

< 17 / 351 >

この作品をシェア

pagetop