身代わり姫君の異世界恋綺譚

いなくなった真白

――絶対に元の世界に帰るんだからっ!

真白は屋敷の外塀を見ながら歩き始めた。

――中の塀は開いていないけど、もしかしたら外に穴があるかもしれない。

どのくらい歩いただろうか、濡れた着物は乾き始めていた。

――陰陽寮って広いんだ……。それに誰も歩いていないって不自然な感じ。

誰にも会わなかった。

――でもそのほうがいい……私を見たら鬼だと思われちゃうもんね。その反応が怖い。

真白が陰陽寮の塀の周りを歩いている頃、桔梗が清雅を呼びに来た。

「なに? 真白がいないと!? 庭に出ているのではないか?」

「庭も探し回りました」

桔梗が言う。

「では、どこへ行ったのだ!?」

清雅は心配になり、真白の部屋に向かった。

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