上司のヒミツと私のウソ
第6章 彼女と彼の真実 I want to know
「おじさんたちと話した?」
ミサコちゃんの部屋は二階の四畳半の和室だった。
家具や布類の多くは彼女の好きなベージュと淡いグリーンの色で整えられ、部屋をおだやかな雰囲気にしている。
それに、ミサコちゃんちの匂いがする。
私の家にはない、やさしくて心の底から安心できる匂い。
昔から、私はこの部屋に来るととても落ち着く。実家の自分の部屋より何倍も。
「店を閉めるというのは母の意向で、父はまだあきらめきれないみたい。昨日の晩も、二人で遅くまで話してたから」
でも、その話し合いに私は含まれなかった。
いつもそう。
二人は自分たちのことで頭がいっぱいで、私がどうおもっているかなんて聞こうともしない。