好きだったよ、ずっと。【完】
「お疲れ様」



わたしは声を掛けたと同時に店員さんに「ありがとう」と言い一口飲んだ。



うん、やっぱりこれが好き。



味が分かっていてもニンマリとしてしまう。



「ったく、朱里は昔っからそれ好きだよな。あ、お姉さん。俺ビールね」



「かしこまりました」



店員さんは一礼をし部屋を出ると春夜は、わたしの向かいに腰を下ろした。



「別にいいでしょ。好きなんだから」



<好き>



こんなにも簡単に出てくる好きなのに、好きな人には言えない。



「ふーん、まぁいいや。ちょっと飲ませろ」



「あっ」



春夜の長い腕が伸びてきて、あっという間にグラスを奪われた。



ゴクリと飲む、その首元にどうしても目がいってしまう。
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