好きだったよ、ずっと。【完】
璃香の存在
19時50分。



わたしは、いつも春夜と来る店に来た。



「いらっしゃいませ。木ノ瀬様ですよね、どうぞー」



お店の中に入ると、すぐに案内される。



ずっと春夜の名前で予約していたから、わたしが先に行っても「木ノ瀬様」と言われる。



そのたびに、ズキンとする。



木ノ瀬朱里になれたら、どんなに幸せだろうと何度も思った。



そんなことを考えている時点で、わたしはイタイ人間なのかもしれないけど…。



「グレープフルーツの生搾り…、でしたよね?」



「あ、はい。お願いします」



「かしこまりました。失礼致します」



個室に案内され、部屋に入ると同時に聞かれる。
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