☆マリッジ☆リングス☆
できない
深夜のベッド

夫婦は甘い夜を過ごすのだろうか・・・

しかし・・・この夫婦は違っていた。

「ねえ・・・こうして、足をうえに上げて・・・」

「おい、何してんだよ。」

「こうすると・・・できやすいんだって。」

さゆりは毎月、ここぞという日はこうして壁に両足をあげて

妊娠を願っていた。

「ごめんな・・・」

聡はそんなさゆりにいつも頭が上がらない。

男はただそういう行為のみで

あとは女任せだ。

なんだか、さゆりの健気な努力が

聡の目には、申し訳なく映る。

小林家。結婚8年目にして、未だ子供に恵まれない。

「もうすぐおまえ誕生日だよなー。」

「うん。」

「34だっけ。」

「そうよ・・・もうそんな年かぁ・・・」

これから出産・子育てを思うと、そろそろ真剣に子づくりしなきゃ。って思うさゆり。

「あなたよ。もう40なるじゃない?」

「・・・だよな・・・もうおっさんだよな・・・」

聡は寝そべりながら、微妙に膨れたメタボなお腹をさすり

この現実をかんじながら、さゆりにはできるだけ早く妊娠させたい。と

そう自分に言い聞かせていた。

さゆりはいつでも産休がとれるように、無難にスーパーでパートをしていた。

「イタ・・・イタタ・・・」スーパーの仕事も地味に体を酷使する。

勤務中に慌ててトイレに駆け込んださゆり。

「はぁ・・・またダメか・・・」

急に始まる女の月の習慣。

また次の排卵までダメね・・・

さゆりは月1度の婦人科通院も始めていた。
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