総長からの「愛してる」Ⅱ
俺のアイリス
《side 昴》
独特な匂いと、目の前一面に広がる同じ灰色。
ここに来るのも久しぶりだな、と思いながら、いつも通りの作業をこなしていく。
こんな行為なんて無意味だと思いながらも、やらずにはいられない。
周りを見れば、俺と同じように悲しげな雰囲気を漂わせたものばかり。
もしくは、事務作業のように淡々と意味もなく行動している者もいる。
そんな奴らを心の中であざ笑う。
『こんなことしても、何も変わらない』
目の前にある、それを見つめる。
……こんなことしても、何も償えない。
過去を変えられるわけでもなければ、行き場のないこの思いの行き場を見つけられるわけでもない。