お茶の香りのパイロット
一方、アルミスの計画など知らずに白ドールを倒してまわっていたルイリードはドールが量産されている工場を2か所潰すことに成功していた。
そして2つめの工場内から「機動型ドール量産ならびにドール集約ロボによる純白計画」という計画書を手に入れていた。
その計画書によると、白いドールによってこの世界すべての地域で起こっている紛争を力でねじ伏せ、鎮圧したのちある人物による独裁政治が行なわれる仕組みになっていた。
「純白な世界だと・・・。そんなことさせてはいけない!
消し炭世界もいいとこじゃないか。」
「たたいてもたたいてもドールはどんどん増えるから厄介だと思ってたけど、これほどすごい計画を立てる人間なんて、余程の大物でないと・・・。
もしかして、ルイはその人物をわかってるんじゃないの?」
フィアはルイの苦しそうな表情を見ながら、そう言った。
「書類のいちばん最後を見れば・・・俺の返事はいらんだろ。」
「え、最後のところ・・・『アーティラス・ルイ・ロングリエ・ウィウス』
この人ってもしかして、アルミスのお兄さん!!!」
「まさかとは思ったし、目を疑ったけど、俺と同じように結界を使えてこんな芸当ができるのは限られるからな。
体が弱いだの、人前には出られないだのとほとんど自室にこもりっきりだった王子の正体がこれなら理解できないこともない。
王室関係者を狙った賊はまず、王妃を殺したときいた。
王妃というのは彼の母ではなくて、アルミスの母親だ。
彼の母は前妻で、病死してしまっていたからね。」
「アルミスのお母さんが気に入らなかったのかしら。
そういえば、アルミスからもお母さんの話なんてきいたことがないわ。」
「アルミスの母親は・・・まあいい・・・とにかくアーティラスを捜して倒さない限り、ドールはなくならないということがわかったんだから。
そろそろもどろう・・・。うっ・・・・くっ。」
「ルイ!どうしたの?顔色が悪いわ。」
「すまない・・・少し休むから、セイを動かして家までもどってくれないか。」
「わかったわ。」
ルイは後ろ側の操縦席を倒して寝ころんでいた。
そして、帰宅してからもすぐにベッドに入ったまま夕飯になってもダイニングに来なかった。
夜中になってルイリードがダイニングに入ると、さっと灯りがついてフィアが立っていた。
「今、体がつらくないんだったら説明してくれない?
裏はセイからとってあるし、嘘はつけないわよ。」
「ははっ・・・まいったな。
さすが俺がみこんだ奥さんだけのことはあるな。
すべてはまだ話せないけど、俺の体のことはすぐにバレると思ってたから正直に言うよ。
俺の命はたぶん、もって1年ほどだ。
だから君はすぐに独身になれるし、自由の身になれるだろう。
けど・・・これだけは頼みたい。
俺が死んだらセイリールをアルミスに届けてほしい。」
「だったら今、アルミスと連絡をとって・・・」
「だめだ!今は無理だ・・・魔力を開放できていないあいつにはセイリールは扱えないし、敵に殺されるだけだ。」
「開放できていない・・・って?
アルミスもあなたのように結界が張れる人なの?
ルイとアルミスってどういう関係なの?
アルミスを前から知っているんでしょう?」
「アルミスは大切なことを忘れているのさ。
いや、母親から忘れるように仕向けられたんだ。
その大切なことを思い出したらアルミスは俺のことも思い出すはずだ。
そうすれば、魔力が開放されセイリールは・・・。」
「教えちゃだめなの?
ルイが自分のことを説明すれば・・・」
「だめなんだ。とても大切な記憶で、自分で心に張られた結界を打ち破らなければ、何も始まらない。
フィア・・・アルミスがな、今日、俺に罠を仕掛けてきたよ。
そうさせるために、マスコミのネタになってやったんだけどな。」
「どういうこと?」
「明日はアルミスと俺たちで一戦交えるってことさ。」
「なんですって!アルミスを攻撃するの?」
「ああ、もちろん殺しはしない。
けど、手は抜かない。
俺の全力でもってアルミスの愛機をつぶす。」
「だめよ!ラーガは私と初めて話したロボットなの。友達なの。
アルミスよりも私と打ち解けてくれた友達!
ラーガを倒すなんてできないわ。
セイリールには悪いけど、乗らないわ。」
「乗ってくれ。じゃ、もう少しだけネタバレを話す。
ラーガは倒すけど、殺すんじゃない。
ラーガはいずれ、セイリールと同化して最高のナイトとなる。
そして、そのナイトを使ってアーティラスを倒すんだ。」
そして2つめの工場内から「機動型ドール量産ならびにドール集約ロボによる純白計画」という計画書を手に入れていた。
その計画書によると、白いドールによってこの世界すべての地域で起こっている紛争を力でねじ伏せ、鎮圧したのちある人物による独裁政治が行なわれる仕組みになっていた。
「純白な世界だと・・・。そんなことさせてはいけない!
消し炭世界もいいとこじゃないか。」
「たたいてもたたいてもドールはどんどん増えるから厄介だと思ってたけど、これほどすごい計画を立てる人間なんて、余程の大物でないと・・・。
もしかして、ルイはその人物をわかってるんじゃないの?」
フィアはルイの苦しそうな表情を見ながら、そう言った。
「書類のいちばん最後を見れば・・・俺の返事はいらんだろ。」
「え、最後のところ・・・『アーティラス・ルイ・ロングリエ・ウィウス』
この人ってもしかして、アルミスのお兄さん!!!」
「まさかとは思ったし、目を疑ったけど、俺と同じように結界を使えてこんな芸当ができるのは限られるからな。
体が弱いだの、人前には出られないだのとほとんど自室にこもりっきりだった王子の正体がこれなら理解できないこともない。
王室関係者を狙った賊はまず、王妃を殺したときいた。
王妃というのは彼の母ではなくて、アルミスの母親だ。
彼の母は前妻で、病死してしまっていたからね。」
「アルミスのお母さんが気に入らなかったのかしら。
そういえば、アルミスからもお母さんの話なんてきいたことがないわ。」
「アルミスの母親は・・・まあいい・・・とにかくアーティラスを捜して倒さない限り、ドールはなくならないということがわかったんだから。
そろそろもどろう・・・。うっ・・・・くっ。」
「ルイ!どうしたの?顔色が悪いわ。」
「すまない・・・少し休むから、セイを動かして家までもどってくれないか。」
「わかったわ。」
ルイは後ろ側の操縦席を倒して寝ころんでいた。
そして、帰宅してからもすぐにベッドに入ったまま夕飯になってもダイニングに来なかった。
夜中になってルイリードがダイニングに入ると、さっと灯りがついてフィアが立っていた。
「今、体がつらくないんだったら説明してくれない?
裏はセイからとってあるし、嘘はつけないわよ。」
「ははっ・・・まいったな。
さすが俺がみこんだ奥さんだけのことはあるな。
すべてはまだ話せないけど、俺の体のことはすぐにバレると思ってたから正直に言うよ。
俺の命はたぶん、もって1年ほどだ。
だから君はすぐに独身になれるし、自由の身になれるだろう。
けど・・・これだけは頼みたい。
俺が死んだらセイリールをアルミスに届けてほしい。」
「だったら今、アルミスと連絡をとって・・・」
「だめだ!今は無理だ・・・魔力を開放できていないあいつにはセイリールは扱えないし、敵に殺されるだけだ。」
「開放できていない・・・って?
アルミスもあなたのように結界が張れる人なの?
ルイとアルミスってどういう関係なの?
アルミスを前から知っているんでしょう?」
「アルミスは大切なことを忘れているのさ。
いや、母親から忘れるように仕向けられたんだ。
その大切なことを思い出したらアルミスは俺のことも思い出すはずだ。
そうすれば、魔力が開放されセイリールは・・・。」
「教えちゃだめなの?
ルイが自分のことを説明すれば・・・」
「だめなんだ。とても大切な記憶で、自分で心に張られた結界を打ち破らなければ、何も始まらない。
フィア・・・アルミスがな、今日、俺に罠を仕掛けてきたよ。
そうさせるために、マスコミのネタになってやったんだけどな。」
「どういうこと?」
「明日はアルミスと俺たちで一戦交えるってことさ。」
「なんですって!アルミスを攻撃するの?」
「ああ、もちろん殺しはしない。
けど、手は抜かない。
俺の全力でもってアルミスの愛機をつぶす。」
「だめよ!ラーガは私と初めて話したロボットなの。友達なの。
アルミスよりも私と打ち解けてくれた友達!
ラーガを倒すなんてできないわ。
セイリールには悪いけど、乗らないわ。」
「乗ってくれ。じゃ、もう少しだけネタバレを話す。
ラーガは倒すけど、殺すんじゃない。
ラーガはいずれ、セイリールと同化して最高のナイトとなる。
そして、そのナイトを使ってアーティラスを倒すんだ。」