With a smile
残り1週間
フーーーッ、これでよしっ。

慎重に慎重にやたらと大きな会社の判子を押した。

契約書の最後に印を押すのは何度やっても緊張する。

別荘は順調過ぎるほどに売れ続け、その結果カイさんはほとんどお客さんの所へ出掛け、私は手続きの仕事に日々追われていた。

カイさんと建都さんの話し合いの場所を、なんて意気込んだもののそれを実現させるのは到底出来そうにない。

やっぱり私には無理なのかもしれない。

この現実に自然とため息が漏れるが、目の前の仕事も現実だ。

判子を総務に返す為にフロアを出ると、エレベーターホールに建都さんと松本さんがいた。

「真木さん久しぶりだね、元気ー?・・・じゃないみたい?」

私に気付いた松本さんが笑顔で手を振った。

「お疲れ様です。元気ですよ、松本さんも元気そうですね」

「オレ?うん・・フフフッ・・」

んん?明るい人だけど、松本さんってこんな感じだったっけ?


< 139 / 176 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop