『コイツが約束を破って手を出してきたら、俺に言ってくれ。そん時は俺が制裁を与える』


最後にそんな頼もしいことを言ってくれた店長さんと別れて、私は麦くんと並んで歩き出した。

背の高い彼の方が明らかに歩幅が大きいはずなのに、私に合わせてゆっくり歩いてくれる。


「寒いですね」

「……そうね」

「店長、面白い人でしょ」

「……そうね」


別に私は嫌がらせでこんな返事をしているわけではない。

他になんと言ったらいいのか全くわからないから、ついつい投げやりな言い方をしてしまうのだ。

けれど麦くんは気分を害した風でもなく、気さくな調子で私に話しかけることを止めなかった。


「なずなさん、今日、泊まっていきます?」

「……そうね。って、え!?」

「新品の歯ブラシも、女の子用の下着もパジャマもありますから、帰るのが面倒だったら是非……」

「お、お断りします!!」


店長さん、この子制裁決定です!!

何もしないって言っておきながら、その約束をこんなにあっさり破ろうとするってどういうことよ……!?


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