愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

◇偽りという名の仮面



「真央…最近、元気ないな…」


朝食が進まない私を龍司が心配そうな顔で見つめてる。


「えっ…そんな事…ないよ」

「疲れてるのか?仕事して、家の事もやってたら大変だよな…今日の夕食は外で済まそうか?」


優しい龍司…ごめんね。


「前に行った中華料理の店、覚えてるだろ?あの店に7時…いいよな?」

「うん。有難う」

「真央が元気ないと俺も元気が出ない。君にはいつも笑っていてほしいから」


胸がチクリと痛み罪悪感が広がる。元気がないのは疲れてるからじゃない。和弥の事が頭から離れなくて、彼の事ばかり考えているから…


どうして今なんだろう…神様は残酷だ。和弥を忘れ龍司と結婚を決めた今、なぜ私達を再会させたの?


こんな事ばかり考えている私は、龍司を裏切ってるのかな…?





―――仕事を終え同期の娘達と外に出ようとした時、私の前を歩いていた娘が声を上げる。


「えぇ~凄い雨だよー」

「さっきまで降ってなかったのに~最悪ぅー」


ホント、最悪だ…龍司と約束した中華料理店は地下鉄の駅から少し距離がある。仕方ないな…タクシーにしようかな…


そんな事を考えていると、1人の娘が気味悪げにボソッと呟いた。


「何?あの車…」


顔を上げると、ハザードランプを点滅させた黒塗りの高級車が広い歩道を挟み止まってるのが見えた。


「凄い車だね…あっ、誰か降りてきた」


こちらに駆け寄ってくる男性…


あれは…

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