愛したがりのカラダがね…、《Berry's Cafe限定》-【完】

◆密会



龍司に和弥の事を聞いて一週間が過ぎようとしていた。


銀行の仕事を終え電車に揺られながら窓硝子に写る自分の姿をぼんやり眺める。


和弥はどうしてるのかな…そんな事を思いながら人の波に押され電車を降りると足早に改札を抜け、マンションに向かって歩き出した。


あんな話しを聞いてしまったら、和弥に会いたいなんて軽々しく言えない。和弥は背負っているモノが沢山あって、家族の為にも龍司の機嫌を損ねる訳にはいかないんだ。


それなのに私ときたら、彼を苦しめる事ばかりしてきた。


和弥に申し訳なくて何度もため息が漏れる。


すると、その時…


プオォーン…


エコーの効いたクラクションがすぐ後ろから聞こえ何気なく振り返ると、見覚えのある黒塗りの車が…龍司の社用車だ。


歩道に横付けされた車の運転席のスモークガラスが音もなく半分ほど下がると…


「真央、乗れよ…」


一番会いたかった人の微笑みと、低く通る声…


「和弥…どうしてここに?」

「今、部長を実家まで送ってきた。マンションに車を戻すから乗ってけよ…」

「うん…」


少し戸惑ったけど、車の後部座席に乗り込んだ。


「珍しいね。こんなに早く帰るなんて…」

「本社から社長が来て、今日は部長の家に泊まるそうだ…大事な話しがあるって言ってたよ」


大事な話し…?それって、まさか…結婚の事?


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