「今日はこの金魚鉢にします!」


「こちらをおひとつですね。
夏の定番でございます。」


「でも食べるの勿体ないなぁ。」


「みなさん、そうおっしゃいますよ。」


そういいながら、お店の人が
私の買った和菓子を丁寧に
包んでくれる。


たった一つしか買わないのに
大事そうにまるで
宝物を扱うみたいに……。


「丁度、お預かりします。
いつもありがとうございます。」


私は包んで貰った和菓子を持って
店を後にした。


あれからーーー


坂下さんと一緒にサトルさん達がいる
ホテルに行ってから
私はサトルさんに会っていない。


櫻やにも行っていない。


何となく、あの日
サトルさんが言った言葉が
耳に残ってて……


ーーーこいつのこと頼むわ


それはもしかしたら
単にホテルからの帰り道のことを
頼んだだけなのかもしれない。


香澄に話したら、きっとそうだよ
って言ってくれた。


だけどーーー
坂下さんの問い掛けに
答えようとしなかったサトルさん。


やっぱり、私との距離を
置きたいのかもしれない。


そもそも前だって
私の事、好きだとかよく分からない
って……
確か、お婆ちゃんが飼っている猫に
似ている?から気になるだけとか
訳分かんないこと言ってたような………。


はぁ……。
どっちにしてもサトルさんが
今、一番大切に思っているのは
ユズさんであってそれはもう
ハッキリしているんだし……。
サトルさんのことをいくら思ってたって
どうにもならないんだから
スパッと……諦めて……


だけど、甘いものが止められないのと
一緒でこればかりはどうもね……。


けれどいつまでも未練タラタラと
言うわけにもいかないし
取り敢えず、私は会社のお昼休みに櫻やへ
行くことを止めた。


だからといって甘いものを嫌いには
なれない。


だから
会社帰りに見つけた小さな和菓子店で
一日の疲れを癒すべく和菓子を
買って帰っていた。


部屋に着くと早速、さっき買った
包み紙を丁寧にほどく。


中から可愛い丸い形をした
和菓子が出てくる。


薄水色したその中に
赤い赤い金魚の形をしたものが
入っていて見た目も涼しげで
見ているだけでも癒される。


「キラキラしてるなぁ……。」


そう言えば……。
櫻やのあじさいも
キラキラした綺麗な和菓子だったなぁ。


まるで宝石みたいーーー


そう言って私が喜んでいるのを
サトルさんは嬉しそうに
見てたっけ……。
















うう~
ダメだダメだ!


忘れなきゃっ


もう少し見ていたかったけど
私は色んな思いと共に
パクっと手元の和菓子を口に
放り込んだ。









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